ギャンブルにおける法と現実のミスマッチ

オンラインカジノの話題となると、常に「合法なのか違法なのか」が議論されていました。
それもそのはず、多くの方がご存知のように、国内の法律ではカジノは禁止されています。
一方で、オンラインカジノはインターネット上のサービスになります。

まさに「ボーダレス」なインターネットの世界で、且つどのオンラインカジノも基本的に海外の業者が海外のサーバーで運営していますので「違法ではない」との声もあります。
果たして、実際の所オンラインカジノは法的見地から見るとどのようなものなのかについて、少々掘り下げてみるとしましょう。

インターネット上の法解釈

インターネット上の法解釈

国内の法律ではカジノは違法ですが、オンラインカジノを論じる場合、国内法よりもインターネット上の法解釈を考慮する必要があります。

なぜなら、オンラインカジノの業者で日本の業者はいませんし、日本のサーバーで運営している業者もいません。
どのオンラインカジノ業者もカジノが合法な国のサーバーにて運営しています。
そして、インターネット上に於ける法解釈としては、サーバーが置かれている国の法律に準拠するものとなっています。
つまり、解釈的にはサーバーへのアクセスは海外旅行と同義です。

海外に旅行した際も、日本国内では違法でも海外で合法のものであれば、現地の国の法律が適用されますし、帰国した際に国内の空港で逮捕されるということもありません。
その最たる例がまさにカジノなのではないでしょうか。

先にカジノは国内では違法だとお伝えしましたが、カジノが合法な国もいくつかあります。
例えばアメリカのラスベガスもその一つです。
ラスベガスといえばカジノで有名ですが、ラスベガスまで旅行してカジノを楽しんでも問題ありません。
なぜなら、ラスベガスにいる間にはラスベガス、そしてアメリカの法律が適用されるからです。
裏を返せば、ラスベガスに住居があるアメリカ人でも、日本に来た時にカジノで遊んだ場合には違法となり逮捕されます。

カジノが合法な国のサーバーに置かれているオンラインカジノを楽しむということは、法解釈的には先に紹介した例と変わりませんので、オンラインカジノは「違法ではない」との解釈が一般的となりつつあります。

オンラインカジノプレイヤーの逮捕者が決定的だった

それでも2016年、オンラインカジノのユーザーが逮捕されました。
この件はオンラインカジノ業界に大きな衝撃を与えました。

当然、逮捕されたプレイヤーが遊んでいたオンラインカジノも海外のものでした。
にもかかわらず、日本人が海外のサーバーで運営されているオンラインカジノを楽しんでいたら逮捕されてしまったのです。

警察側としても事細かに状況を説明した訳ではありませんが、逮捕されたプレイヤーが楽しんでいたオンラインカジノは、ライブカジノに日本人ディーラーがいることが売りでした。
つまり、いくら海外のサーバーで運営されているとはいえ、「日本人向けのサービス」と認識されたのでしょう。
そのため、逮捕に至ったのですが、最終的には不起訴となりました。

それもそのはず、プレイヤーだけが逮捕されるのはおかしいと法曹界からの反発もありました。
その理屈で国内のプレイヤーだけを逮捕するのであれば、「日本人向け」に運営していたオンラインカジノも逮捕しなければ理屈に合わないとされたのです。

結果として不起訴となったのですが、不起訴になったことで逆に「オンラインカジノで起訴されない」、つまりはオンラインカジノが違法ではないことが証明される形となりました。

法律が追い付いていないからこそ

法律が追い付いていないからこそ

このような問題がクローズアップされる背景にあるのは、オンラインカジノだけではなく、インターネットと法律のミスマッチがあります。
法律は我々の日常生活の根底にあるもので、いわば規範となる、価値観の異なる多くの人々の共通のルールです。

もしもですが、法律が無ければ違法なのか合法なのかさえ分からないのです。
現実として法律は存在するのですが、その法律ができた時にはインターネットがありませんでした。
特に日本は法改正が遅いこともあり、明らかにインターネットに対応しておらず、何か問題が起きてから後追いで法改正されるケースがまだまだ多いです。

一方で、今後はIRにより事実上カジノが解禁されます。
それまで違法だった行為が合法になりますので、今後カジノ、そしてオンラインカジノがどのような形で扱われるのかは注目です。
いずれにせよ、先に逮捕者が不起訴となって以降、オンラインカジノによる逮捕者は出ていないことを考えると、「問題なし」と考えて良いのではないでしょうか。

まとめ

まとめ

オンラインカジノの法的解釈は専門家の間でも意見が分かれていました。
しかし、逮捕者が不起訴となってからは、この手の議論は落ち着きを見せつつあります。
警察側としても、オンラインカジノ人気の高まりを受けて何らかの対策を講じたかったのかもしれませんが、むしろ警察の行動によってオンラインカジノが違法ではない、起訴されるものではないことが証明され、安心して楽しめるようになったのです。

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